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奥州の歴史小説>今東光 [fuzzyな日記]

「蒼き蝦夷の血・藤原四代」 奥州藤原氏の開祖、藤原清衡(清原清衡)により奥州平泉に開かれた都(当時京の都に次ぐ第二の都市)の成立繫栄から滅亡までを描いた小説です。
今東光氏は津軽藩士の家系に産まれ、小説家として活躍しますが、天台宗の僧侶でもあり、小説の舞台となる平泉の中尊寺の管主でもありました。そして中尊寺を建立した藤原氏を題材に「蒼き蝦夷の血・藤原四代」を書き上げます。全5巻の内、第1巻は清衡が後三年の役(安倍氏を倒した清原氏の内紛)から奥州平泉に都を築き、二代基衡までの時代を描いています。第2巻は二代基衡による藤原氏のさらなる繫栄、3巻~5巻は秀衡が中心で源平合戦との因果関係を主題に描かれ四代泰衡の代での鎌倉幕府に攻め込まれ栄華を誇った奥州藤原の滅亡までが描かれています。
物語の根底には、奥州の蝦夷VS源氏の脈々とした因縁があり、奥州に対する執念とも云える源氏の怨嗟が終に蝦夷を制圧してしまうのです。一般的には三代秀衡が源義経を匿った為に頼朝が奥州征伐に乗り出すのですが、これはあくまでも名目で、あくまでも奥州制覇に執念を燃やす源氏の野望でした。藤原氏4代の泰衡は鎌倉幕府を恐れ、義経一族を襲撃殺害し首を幕府に差し出しますが、頼朝は藤原氏追討におよび100年の栄華を誇る蝦夷の都平泉を灰燼焦土と化してしまうのです。これには源頼家・義家親子VS奥州安倍一族の前九年の役、清原清衡・義家VS清原家衡の後三年の役を通じ、奥州の地を手に入れたい源氏(清和源氏)が無為に流した多くの血が、奥州制圧の源流となり、藤原氏を滅ぼすのです。源氏と蝦夷、の血の戦いでもあったのですね。又、以前高橋克彦氏の蝦夷の棟梁:阿弖流為を題材にした「火怨」安倍氏を題材にした「炎立つ」などの、大和と蝦夷の戦いのでもあったのです。
*蝦夷(エミシ)=大和朝廷に服属しない人々であり、蝦夷(エゾ)所謂アイヌ民族と混同されますが、同族では有りません。古い時代に東海以北の大和民族の同族が地を追われ奥州に移住したのではないでしょうか。
近年、中尊寺に安置されていた藤原氏の遺骸を研究した結果では、藤原氏は京都人に限りなく近いとの判断がなされ、藤原氏の出目は京都人が奥州に流れたのではと考えられていますが、清衡は藤原経清と蝦夷の安倍氏の娘の間に出来た子です。安倍氏の出目は解りませんが大和民族と同様な人種と思えます。
高橋克彦氏・熊谷達也氏・澤田ふじ子女史など平安~鎌倉までの奥州の歴史小説を紹介しましたが、興味を持って戴けましたか?今は「天地人」に代表される戦国時代が注目を集め戦国好きな人には、奥州と謂えば伊達政宗になってしまいますね。是非、奥州の先人達にも眼を向けて頂きたいと思います。
3af29f6914e2c910.jpg 絶版になっていますので古書などのサイトで探さないと手に入りません。
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やまがたん

ご訪問ありがとうございました^^
本日は私はジンギスカンまつりの事務局
家内がPTAの球技大会に出場のため
簡易な訪問とさせていただいております
( ゚∀゚)o彡°広告もランキンクも゙☆ポチッとオウエン☆
by やまがたん (2009-09-06 06:51) 

moz

戦国時代も良いですが、その前の前? 源平の時代も歴史は面白いですよね。義経を殺さないで鎌倉と戦ったらどうなっていたのでしょうか?
歴史にif はないけれど、こういうのにも興味あります。
by moz (2009-09-06 15:59) 

fuzzy

mozさんありがとうございます。義経と藤原連合軍VS頼朝鎌倉軍、合戦があったら、想像だけで十分楽しめますね、簡単には負けないですね。
by fuzzy (2009-09-06 23:31) 

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